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少し前の記事でも触れた、働きすぎて体を壊した時の事を書く。

「過労死」なんて最近耳にするようになった。
でも基本的に日本は忙しい国だ。
セコセコと働いて、忙しく、気持ちの余裕が無い。
働きすぎの国だ。
もっとも、働けるだけで裕福な国だという事だ。
しかし、知らないうちに体も心もボロボロになっている事に気が付かない。
そのぐらい裕福な贅沢な国だ。
そして綺麗で安全な国だ。


10年前の1997年、夏。
この当時はレギュラー参加バンド10以上。
他、ユニットやセッションも5つぐらい組んでた。
年間120本くらいの本番を軽くこなす。
はい。平均3日に一回本番だ。
リハも必ず1回はあるから、最低計算でリハも平均3日に一回の割合で入る。
あとは移動日、打合せ、作曲、和太鼓教室などなど・・・・・山ほどあるのは前に書いた通りだ。

休みなんて無い。
いらない。
取れない。
入れない。
必要無い。

っていう考え方だった。


なぜならば、出演依頼(オファー)がくるのは大変にありがたい事であるし、全然苦ではなかったからだ。
それにソロ活動を開始してから、まだ2年くらいだし。
頼まれれば何処でも何でもやるし、スケジュールがビッチリだがそれはそれは楽しい日々だった。
もちろん今現在も楽しい日々だ!(今のほうがもっと楽しい)


結局、スケジュールを入れてしまうのは自分自身だから、だれも責められない。
「忙しい」とは思った事は、今まで無い。
テメーで予定を入れてテメーで「忙しい」なんて言ってたら世話無い。
自分で「忙しい」なんて言ってるヒマがあるんだから、そんなの忙しく無いし。
「忙しい」というのは回りの人が判断する問題だ。
実力もそうだ。
「忙しそうだね」、「忙しいでしょ」、「忙しいもんね」
これは自分ではなく、第三者が言う事だ。


当時、1日に2~3本違う仕事を入れるのなんてザラ。
要するに昼本番をやってバラシて積んで移動して次の本番会場に向う。
また搬入してセッティングしてリハーサルして本番。
それが終わったらまた同じ作業をして、今度は夜中~翌朝までレコーディング。
そのまま今度は別のリハーサルに向う。
こんなの当たり前にやってた。
寝なくても平気だったし。
現場から現場の場合は、たまーに車で少し仮眠(30分とか1時間とか)をとったりするぐらい。
家に返ったら、お風呂に入って、時間ギリギリまで寝るだけ。
寝る、食べる、トイレ以外の時間は全て太鼓太鼓太鼓、仕事だ。


それに、可能な限りスケジュールを入れるから移動が旅から旅になる。
洗濯物はホテルフロントにお願いするか、部屋で洗う。

新潟から博多、博多から青森、青森から大阪へ。
こんなのへっちゃら。
朝まで飲んでても、次の日OK!
シメのメンラーももちろん欠かさない。

本来なら東京から地方に行って公演をして、また東京に帰ってきて終わり。
ところが予定が過密だから、地方から地方に行かないと間に合わない。
ほとんど家に帰らないで、仕事先を渡り歩いている事になる。

それどころか、乗り打ち(移動してそのまま本番)、打ち逃げ(本番後に次の公演場所に移動)当たり前。
これも普通なら、乗り打ち、宿泊、移動とか。
前乗り、打ち逃げとか。
一番の理想は、前乗り(本番前日移動)、後帰り(本番の翌日移動)だ。

乗り打ち、打ち逃げ+そのまままた乗り打ちで本番とか。
本番後に別の現場に移動して本番やってその後に移動してリハとか。
全部地方公演の話だよ。

だから、本番が終わると楽屋口にタクシーが待ってる。
すぐに乗り、空港へ直行。次の都市へ移動。
その土地の名物なんで食べる時間はない。
楽屋弁当専門。
景色を見る余裕すら、あまりない。

旅から旅へ。
移動の嵐。
楽器はプロのトランスポート会社にお願いしてるから、移動は飛行機、新幹線などを利用する。
当時は飛行機でタバコが吸えた。
新幹線のグリーン車で、コーヒーを飲みながら一服する一時が楽しみで楽しみで。(今も、もちろんこれが楽しみ)


楽器はトラック(4t車、11t車など)移動だから、体の移動のほうが当然早い。
その為、実は俺の楽器はフルセット(大太鼓、桶胴2台、ちび宮、他に長胴2台、5丁掛締太鼓2台、ちび桶、団扇太鼓セット群、全ての太鼓台、シンバルやスタンド類など)
が、もう1セットあって、常にフルセットを2セットで回している。

Aセットは九州で本番中だが、その間Bセットは青森に移動中とか。
Aセットを使用して東京でリハ中に、Bセットは北海道に出発とか。
Aセットは東京に向ってる最中だが、Bセットで東京でリハとか。
Aセットは次の国内の公演場所へ、Bセットは海外公演へとか。
とにかく、2セット以上ないと回らない。

トランポはトラックだから、移動に時間がかかる。
でも体は飛行機だし、次の日も空いているわけだからもったいない。
絶対に2セット必要である。

それでも2セットでも間に合わない事もあり、しかたなく飛行機に追加料金を払って貨物扱いで積んで、体と同時に移動したり。
どうしても間に合わないから、事前にさらにこの2セット以外の楽器を現地に送ったり。

とにかくハードと言えばハードだが、充実している。


こんな活動の中、ある日地方から移動してきて、羽田空港から東京都内の某スタジオに向った。
昼くらいから、夜23時くらいまでリハーサルをやったのだが、リハ中に何か体が熱い。
気のせいかな。
風邪かな。
とか思いながら楽曲をこなすが、体がだるい。

リハが終わって、スタジオの下の車に戻ったら、何と自分の視界がだんだんと狭くなって来た!
最初は縦方向が狭まり、横も狭まり始めた。
ターミネーター2のエンディング時、ターミネーターが死ぬ時の“絵”とソックリだ。
何か熱もあるみたいだし、体が動かない。
今まで味わった事がないくらいに体調が悪い。

即、救急車を呼んでもらって、近くの病院に運ばれた。
血を採ったりして・・・

「過労です。相当に疲れがたまっています。」
とにかく絶対安静です。

はい。即入院。
ゆっくりと点滴。点滴。点滴。
ありがとう。


なに!?
入院!

次の日は朝早~くに茨城県まで行かなければいけない。
もう数時間後の事だ。
茨城県で昼に本番なのだ!

本番に穴をあける訳には絶対にいかない。
この業界の仕事は風邪とか不幸とか関係ない。
絶対にやならければいけない。


病院のベッドでずっと点滴を打ってたが、朝4時30分くらいに車で迎えに来てもらった。
東京から茨城県の奥まで移動だ。
看護婦さんが心配そうな顔をしながら見送ってくれた。

現場まで行くも、体が動かない。
立てない。喋れない。顔は真っ青だ。
バンドの出演者・スタッフと相談し、この日初めて本番に出られないという事になってしまった。
悲しい。

本番中、みんなの音を聞きながら楽屋で寝ていた。
元気が無い。
仕事が出来ない。
こんなに辛い事はない。


本番は終わったが、この後も自宅には戻れない。
このまま、ここから愛車で福島県まで移動しなくてはいけない。
次の日は福島県でコンサートがある為、前乗りをするのだ。
どしゃ降りの大雨の中、茨城県~福島県へ夜中移動。
俺はずっと助手席でほとんど寝ていた。

次の日、使っていない楽屋にスタッフが布団を敷いてくれた。
本番ギリギリまでそこで寝ていたが、本番はガンガンにやった。
金四郎、林などハードな曲もある。
大太鼓ソロもある。
熱もまだある。
死んじゃうかも。
死んでもいい。
太鼓叩きながら死んだら最高よ。

本番後、打上げに参加していたら、何かスッキリしてきた。
本番で汗を大量にかいて、熱が下がったのだ。
平熱に戻り、顔色も少しずつ戻ってきた。

ような気がする。


スケジュールはまだまだ続く。
次の日は、千葉県でコンサートだ。
乗り打ちだ。
朝、福島から千葉に移動。
もちろん本調子ではないが、だいぶ回復してきた。

この後も、もちろんスケジュールは続く。
とにかく、スケジュールを入れてしまっているのは自分だから、自分の責任。

しかし、この時思ったんだよ。
これで体を壊してたら意味がないな。
結果的に演奏家人生を縮める事にもなる。

この出来事を機に、その後はまずスケジュールの組み方を考えた。
無謀な事は必ずツケが回ってくる。
気をつけていたとしても、かなり無理をしてしまう事があるわけだし。

それに芸術家なわけだから気持ちの余裕も必要だし、勉強も必要だ。
体を調整して、休ませて、手入れしておかないと結局使い物にならなくなる。
という事は、休む事も仕事という事だ。
キャンプや旅行も仕事の内だ。
この考え方に行き着いた。

仕事を入れるも入れないも自由だが、壊してはみんなに迷惑がかかる。
治療費もかかる。
時間もかかる。
それに何よりも悲しい。


映画を見たり、美術を見たり、自然に触れたり。
これもまた感性を高める重要な仕事だ。

遊び=仕事。
仕事=人生。
人生=遊び。

最高!
最も高い。


フルセットを2セットで回す事は、いつも役立っている。
今年もフランス領・ニューカレドニア公演の後、すぐに東京で公演だったから。
ニューカレドニアにはBセットを使用し、Aセットは日本に置いておいた。
これでトラブルがあっても万全だ。
実際に想定内でトラブルがあったけど。
(海外でのトランポは飛行機に機材を積んでもらえない事など毎度の事)


とにかく体は一つだから、大切に、そして感謝して生きなければいけない。

全てに感謝致します!

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プロフィール
HN:
御木裕樹
性別:
男性
職業:
和太鼓奏者・音楽家
趣味:
マジック・ゴルフ・テレビゲーム・麻雀・ものまね・釣り・映画やビデオを見る事・強く握手して泣く事
自己紹介:
1973年9月22日、東海道 品川宿 南品川宿出身
丑年、乙女座、A型
視力:左・右1.0
足のサイズ:25cm

好きな言葉:努力、根性、信は力なり。
特技:人間を見極める事、嘘を見抜く事、先を読む事。
短所:心配性、後悔する事。
譲れない事:礼儀、挨拶、義理、筋、人情、基本の大切さ、このブログ。

よく言われる事:昭和の漢、明治の漢、熱血、繊細、完璧主義、鋭い、神経質、面白い、変わらず信念を貫いてほしい。

嬉しい経験:ゴルフでエースを達成した事。シュノーケリング中に目の前にマンタが現れて一緒に泳いだ事。

苦い経験:過密な公演ツアー中にホテルで起きたら、次の公演場所に行く為に乗るはずだった飛行機の離陸時間を過ぎてた事(笑)
ちなみに次の便でリハーサルにはちゃんと間に合ったが、かなり反省した苦い経験。

痛い経験:ナムコの『太鼓の達人』が出た頃ゲーセンでやったら、後ろに並んでた女子高生2人組に「チョ~マジで上手くな~い!」と、語尾上げで誉められた事(笑)

面白い経験:仕事の打ち上げでみんなで高級クラブに飲みに行った時に、マジックはやらされるわ、モノマネはやらされるわで大汗かいて、全然打ち上がれなくて(笑)、挙句の果てに帰り際にホステスに「ありがとう!本当に楽しかったです!」って言われて、どっちが客だか分からなかった事(爆笑)

好きな生き物:ホホジロザメ
好きな色:紫、黒、金
好きな人:軽くてノリが良くて冗談ばかり言うが実は“本物”の人。飾らない人。
嫌いな人:挨拶ができない人、またはしない人、礼儀・作法が無い人、気が利かない人、マイペースな人、自己中心的な人、初対面でタメ口の人、売れたいと思ってる人、金・地位・名誉の為に人を裏切る人、ネバネバしてる人。

好きなテレビ:スクール★ウォーズ、西部警察(シリーズ)、ドリフ大爆笑、遠山の金さん(杉良太郎バージョン)
好きな映画:ターミネーター(1~2作)、ジョーズ(1作目)、猿の惑星(1~3作)、バタリアン(1作目)

好きな食べ物:納豆、梅干、白米、味噌汁、ハンバーグ、たこ焼き、すもも。
嫌いな食べ物:セロリ、蟹、甘いもの。
好きな飲み物:ポカリスエット、生ビール、水、コーヒー。
タバコ:MILD SEVEN
好きな音楽:HIPHOP、ラップ
好きな国:フランス領・ポリネシア(タヒチ)
好きな場所:静岡県・伊豆半島(特に伊東)、沖縄
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